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微生物群集を介した物質の変化と輸送

水圏環境では、植物プランクトン・動物プランクトン・魚類などの高次捕食者から排出される溶存態有機物(DOM)を原核生物が利用し、原核生物は従属栄養性・混合栄養性の原生生物に捕食される微生物ループにより、有機物が輸送されています。本研究室では、環境中の植物プランクトン(一次生産者)、原核生物(溶存態有機物利用者)、原生生物(原核生物捕食者)の群集変化を明らかにすると共に、単離株を用いた実験を行うことで、環境中で起こる微生物群集の変化を詳細に再現・説明する研究を進めています。特に、陸域と海洋をつなぐ沿岸水域を中心に研究を展開しています。

難培養性原生生物の単離

環境中の原生生物を単離して性質を調べます

Project: Defining a Rank in Eukaryotes/DaRE?
  • 稀釈法やキャピラリー法を駆使して水中や堆積物中の単離し、電子顕微鏡による形態的特徴の特定や、遺伝子配列解析により系統学的位置を推定して、新規の微生物を探索します。
  • 卒論:2017・2018・2019・2020・2022・2023年度

    学会発表:岸上・山田・石田・片岡(北陸合同バイオシンポジウム2019);岸上・太田・石田・山田・片岡(日本微生物生態学会2023)

  • 全ゲノム配列を決定して、保有する遺伝子から新奇微生物の性質を推定します。[京都大学化学研究所との共同研究]
  • 学会発表:片岡・遠藤(日本微生物生態学会2021年度)

  • 原生生物の二者培養を作成し、増殖特性を調べます
  • [2021・2022年度卒論]

    原生生物の細菌捕食速度

    単離株を用いて細菌捕食速度を計測します

  • 蛍光ビーズ摂餌法や化学物質(BrdU & EdU)トレーサー法により、原生生物の捕食・摂食速度を算出して、水圏微生物ループでの炭素輸送速度を推定します。
  • 単離株間で大きさの異なるビーズを与え、捕食速度を比較します [2018・2019年度卒論]
  • 学会発表:片岡・太田(日本微生物生態学会大会2022), 石田・片岡(日本微生物生態学会大会2019)

    遺伝子解析による微生物群集構造解析

    大量塩基配列解析法を用いて微生物群集の変化を調べます

    アンプリコン解析(16S rDNA・18S rDNA)

    • 別寒辺牛湿原・厚岸湖・厚岸湾をフィールドに、沿岸域における微生物の炭素循環に関与を調べます。[北海道大学との共同研究]
    • 日向湖の原核生物(細菌と古細菌)の季節変化を明らかにし、窒素循環との関わりを調べます。[2023年度卒論]
    • 学会発表:片岡・中村・三木(日本陸水学会2023)

    • 若狭湾で、光合成を行う原核生物と真核生物群集の季節変化を明らかにし、水塊構造やクロロフィル濃度と共に分析することで、一次生産に寄与する微生物を特定します。[国立環境研究所との共同研究]
    • Kataoka et al. 2023 (CSR)

      学会発表:片岡ら(日本海洋学会2023); 片岡・太田(日本微生物生態学会2022); 石田・片岡(日本微生物生態学会2019)

    • 春季仙台湾で、活発に分裂する原核生物を網羅的解析し、植物プランクトンの大量増殖時に有機物分解に寄与する原核生物を明らかにします。[国立環境研究所との共同研究]
    • 三方五湖と琵琶湖の堆積物中の原生生物群集を網羅的に解析して比較することで、塩分濃度と水圏環境中の原生生物群集構造の関係を調べます。[京都大学との共同研究]
    • Kataoka & Kondo 2019 (ECSS); Kataoka & Kondo 2019 (DiB)

    遺伝子解析による揮発性有機炭素(VOC)を分解する微生物の特定

    塩基配列解析法を用いてVOCの変化と微生物群集の変化を追跡します

    変性在濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)法(16S rDNA)

  • 噴火湾の海水にVOC(Volatile Organic Carbon:揮発性有機炭素)を添加して培養し、VOC濃度をガスクロマトグラフィーで追跡すると共に、DGGE法で微生物群集構造の変化を追跡します。
  • 北海道大学チームとの共同研究

    Kataoka et al. 2019 (M&E)

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